UFOの形状から考える 東西冷戦時代の米ソの恐怖心 その深刻な対立

葉巻型と円盤型 男女の性器と関連するUFOの形状

筆者はその存在を信じないが、世の中には熱烈なUFOの信者がいる。知人の女性編集者などは「宇宙人は以前から地球に侵入していて、現在、かなりの数が地球人のふりをして暮らしている」と言う。

「宇宙人なんかいないよ」と言っても「そんなことはない。今年は宇宙人が姿を現わし、本格的に活動を開始する記念の年になりそうだ」と言い張る。

だが、彼女がこの持論を展開し始めて早5年。いまだに宇宙人は現れない。そういえばある宗教団体は宇宙人が宇宙連合を組んで米国をはじめとした各国の要人に接触をはかっていると主張している。環境破壊や戦争など地球の諸問題を抜本的に解決するよう、宇宙人が勧告しているそうだ。

今から20年前「人はなぜこんなものを信じるのか?」という連載記事を担当したことがある。UFOについて心理学者から解説のコメントをもらって原稿を書いた。

彼によると、人は未知のものがこの世にあると考えることでモヤモヤした気分を解消できる。だから不可思議なものを信じたくなるのだという。その上で、
「東西冷戦時代、米国とソ連では空に目撃されたUFOの形状が大きく異なっていた。ソ連など東側陣営では葉巻型UFOが目撃され、米国など西側陣営ではアダムスキー型UFOが目撃された」
こう言って、その理由を説明してくれた。

冷戦当時、米国とソ連は宇宙開発を競っていた。米国はアポロ計画などをオープンにして世界に公表していた。こうした表に出ているものは人間で言えば男性器つまりこん棒だ。

ソ連の国民は米国のすべてをあからさまにする姿勢に恐れをなし、そこにこん棒のような武器を想念した。その恐怖心が棒状の葉巻型UFOのイメージに結びついたという。

一方、米国でアダムスキー型のような空とぶ円盤が目撃されたのは、反対に女性器と関連している。男性器と違って女性器は奥に秘められ、形状のイメージは円形である。米国人はソ連の秘密主義の宇宙開発に不安を覚えたため、女性器に結びつく円盤型UFOを目撃するようになったというのだ。

「この学説は世界の心理学会で認められている」
彼はこう話してくれた。お墨付きを得ているというわけだ。

その記事を掲載した日、読者から電話が入った。彼は「UFOは実在しますよ。私は過去に2度、UFOに助けられましたから」とこう話してくれた。

「1度目は恋愛で悩んでいたときです。野原で座ってたら、上空にUFOが現れたんです。私は『ああ、俺を勇気付けに来てくれたんだな』と気づきました。そこで今の女房と結婚しました。2度目はそれから十数年後。会社をリストラされたときです。やはり野原に座ってるとUFOが現れました。私がクルマで帰る間ずっと、UFOは空を飛んで、私を見守るように、ついてきてくれたんです。UFOは本当にいます」

筆者は「そうですか。それは良い体験をなさいましたね」としか言えなかった。

この人はUFOを信じることで勇気を与えられ、苦難を乗りきってきたのだろう。

あれから20年になるが、その後もUFOに助けられたのではないだろうか。不謹慎かもしれないが、「信じるものは救われる」という言葉が浮かぶのだ。

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