テレビのスタッフに一律7万円 ゴッドマザー海老名香葉子さんの上手なカネの使い方
海老名香葉子が選んだ娘たちに伝えたい!暮らしのびっくり知恵袋(女性自身whoブックス)

芸能プロでは整形費用をわざと分割払い

先日、本コラムで森進一(75)はケチだという記事を書いたら、ツイッターのフォロワーから「書いていたことは本当か?」との問い合わせを受けた。「本当です」と書くと森進一から訴えられるかもしれないので、「まあ、話半分ということで」と答えておいた。

森進一は倹約家として有名だが、彼は使うときは使う。その良い例が弟の大学入学時の寄付金だ。弟は今から50年ほど前、日大医学部に合格したのだが、その際に森が多額の寄付金を払ったと話題になったものだ。何が何でも弟を医師にしたかったのだろう。

筆者の知り合いの私立の医大を出た医師たちによると、彼らが入学試験を受けた70年代は、面接で「いくら寄付金を払えますか?」との質問を受けた人が何人もいたという。なかには親がじきじきに大学に呼ばれて同じ質問を受けたケースもあるそうだ。「医は算術」という言葉がのしかかってくる。

森進一のカネの使い方でもう一つ。15年くらい前だったか、「森進一には腕のいいゴースタライターがついてるらしいよ」という噂が芸能マスコミに流れたことがある。エッセーの執筆などを頼まれた際に森自身は書かず、筆力のあるライターに書かせて相応のギャラを払っているというのだ。

ホンマかいなと眉にツバをこすりつけていたら、ある週刊誌に掲載された森進一のエッセーを見て「へぇ~ッ」と思った。いきなり「バートランド・ラッセルはこう語っている」という言葉で始まっているのだ。ラッセルは英国出身の歴史的な哲学者である。

失礼ながら、ラッセルの文言は森進一のイメージにあまりフィットしない。筆者はこれも森進一を支えるゴースタライターの手によるものだろうかと思案した。裏側を知らない人は「こんばんわ。森進一です。僕の歌を聞いてください」と語りかける森がインテリとして輝いて見えただろう。

芸能界にはうまいカネの使い方をしている人たちがいる。筆者の友人のH君は小さな芸能プロを経営している。グラビアアイドルも大勢所属していて、彼女たちは顔や胸などの整形手術を希望する。

だが手術を受けるカネがない。そこでH君が事務所のカネを出して手術を受けさせる。費用を給料から天引きするなんてケチなことはしない。事務所が全額を負担するのだ。

顔を整形する場合は目と鼻と顎が3点セットとされている。執刀する医師のグレードによって手術代にばらつきがあるが、相場は3点で100万円という話だ。彼はこの支払いをあえて分割払いにしている。

「100万円を現金で払ってもいいのですが、あえて5万円ずつの20回払いなどにするのです。目的は手術を受けたモデルが僕や事務所に恩義を感じるよう誘導するため」
とH君。

モデルが用があって事務所に来たとき「〇子ちゃんの△整形外科の今月分、振り込んどいて」と経理担当に指示する。もちろんモデル本人に聞こえるようにだ。
「モデルはその言葉を聞くたびに『私のために事務所がお金を使ってくれてるのだ。頑張ろう』という気持ちになる。おまけに恩義を感じるから、他の事務所に移籍しようという気にもなりません。だから安心なのです」(H君)
なるほど。うまいカネの使い方だ。

テレビ出演は「損して得取れ」

海老名香葉子(89)といえば初代林家三平の妻にして、現在の林家正蔵、林家三平を育て上げたゴッドマザー。美どり、泰葉と2人の娘もいる。

「香葉子さんはお金の使い方が実にうまい」
以前、落語関係者からこんなことを言われた。ゴッドマザーだから、テレビ局などから“お宅訪問”などの取材依頼がくる。OKすると後日、カメラマンや照明係、リポーターなどが自宅にやってくる。その際、香葉子さんは彼らスタッフにご祝儀を渡す。

金額は一律で1人7万円という話だった。学校を出たばかりの安月給の新人スタッフも同じ金額だから、若手にとってはありがたい臨時収入だ。もしスタッフが5人で来たら、祝儀の総額は35万円になる。

その結果どうなるか。その後の企画会議などでプランを求められた際に、ご祝儀をもらったスタッフが「海老名家訪問」や「香葉子さん取材」などの企画を発案することに。またも海老名家を訪れたり、香葉子さんを取材することになる。もちろん、正蔵や三平の取材でもご祝儀を包むそうだ。

「仮にテレビ局の謝礼が50万円として、香葉子さんの手元に残るのはわずか15万円。だけどそれでいい。テレビに出れば香葉子さんだけでなく子どもたちの宣伝にもなる。すると地方の営業などの仕事が増えて売上が上がる。結果的に損して得取れということになります。香葉子さんはテレビ出演を一族の宣伝手段と割り切っている。テレビで儲けようという気持ちはさらさらないのです」(落語関係者)

この話を聞いたころ、「芸能界で講演料が一番高いのは海老名香葉子」という声をよく聞いた。ウソかまことか、60分しゃべって100万円という話だった。

そうしたオファーを受けるのもテレビに出ているからこそ。さすがはゴッドマザー。豪快でクレバーだ。

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