夏目三久・有吉弘行 「妊娠・結婚」誤報と電撃結婚に隠された芸能界のウソと欲望

真相は有吉がリークで夏目を追い込んだ?

筆者は長らく芸能取材から遠ざかっているが、それでも「あれは何だったのか?」と興味をかき立てられるニュースを見かけることがある。2021年4月に発表された有吉弘行(48)と夏目三久(38)の結婚もそのひとつだ。

この結婚報道には前哨戦があった。発端は16年8月24日の日刊スポーツ。1面トップで「夏目三久アナが有吉の子ども妊娠」と報じたのだ。

夏目の所属事務所の田辺エージェンシーはこの報道を「事実無根」と否定したが、日刊スポーツは強気の姿勢を崩さず、翌25日は「年内結婚へ」とさらに話を進展させた。

一方、田辺エージェンシー側は9月1日のスポニチに夏目を登場させ、「記事に書かれているような事実はありません」と否定させた。有吉もラジオ番組で「とりあえず私の新聞報道、熱愛と妊娠とか結婚というのは、本当に全くないことなんで何とも言いようがないです」と否定。当事者の3者が完全否定に回ったわけだ。

日刊スポーツの8月24日付第一報を読んだとき、筆者は妊娠・結婚の情報をリークしたのは有吉本人だろうと思った。有吉が夏目との結婚を既成事実化しようと画策したと読んだからだ。

2人が交際しているのは事実。有吉は夏目にべたぼれで、なんとしても結婚したい。そこに妊娠が判明した。だが夏目は有吉との結婚にいまひとつ乗り気でない。だから有吉が妊娠の事実を世間に知らしめ、夏目が自分と結婚するよう仕向けた――。つまり逃げられないよう追い詰めたのだろうと考えたのだ。

妊娠の事実は女性にとっては重大事だ。実際、田辺エージェンシーの田邊昭知社長は当初は裁判を示唆していた。同時に日刊スポーツを“出入り禁止”にしたと伝えられた。

妊娠説は女性タレントの商品価値に関わる大きな問題だ。だが田辺エージェンシーが日刊スポーツを提訴したという話も聞かないまま時間が流れ、世間が「あの話はどうした。誤報だったのか?」「いや、捏造だろう」と思案していた11月24日、同紙は「夏目三久さんに関する報道のお詫びと訂正」と題した謝罪記事を掲載した。文面は、
「一連の記事には事実と異なるところがありました。特に妊娠という女性にとって重大な事柄については、ご本人に確認しておらず事実に反していました。ここに訂正し、謹んで深くおわび申し上げます」
日刊スポーツの完敗である。

巻き添えでバレた夏目と田邊社長の秘密

ただ、この騒動では田邊社長も巻き添えとなった。ある週刊誌が田邊社長が夏目をプライベートで可愛がり、TBSへの送り迎えの際は手をつないでいると報じたのだ。男女の仲ということだろう。

このころ筆者は大手広告代理店の人から、
「田邊社長の妻の小林麻美が激怒してるらしいよ」
と言われた。小林麻美は「雨音はショパンの調べ」のヒットで知られる元歌手。91年に田邊社長と結婚し、「芸能プロの社長が所属タレントに手をつけて妻にした」と週刊誌の失笑を買ったものだ。

筆者は田邊社長と小林は離婚するかもしれないと思っていたが、そうした生臭い話は出てこず、さらに時間が経過した。そして5年後の21年4月2日、有吉と夏目が前日(1日)に結婚したことを双方の事務所が発表したのだ。「えっ、まだつき合ってたの?」と仰天したのは筆者だけではないだろう。

見落としてならないのはこの日(2日)の日刊スポーツの記事だ。「有吉結婚か」と報じたのだ。ただしこの記事では有吉が誰と結婚するかは伏せられていた。だが結果的に事実。それも結婚相手は夏目だった。同紙は4月1日時点で有吉の結婚情報をつかんでいたことになる。

事態の経緯を振り返ると、常に日刊スポーツの報道が先行している。しかも最後のスクープは「有吉結婚」だった。これは一体どうしたことか?

複数のメディアが報じたところでは、日刊スポーツの「有吉結婚か」というニュースは田邊社長が出禁にした同社の顔を立てるために優遇して書かせたという。事実なら、妊娠の誤報を書いた憎い敵に温情をかけたことになる。なんとも不思議な話ではないか。

芸能界ではときに不可解な誤報が発生するものだが、この有吉・夏目報道はとりわけミステリー度が高い。有吉、夏目、田邊社長、この3者に何が起きたのだろうか……?

裏側を大胆推理をするとこうなる

筆者はあれこれと考え、舞台裏を推測してみた。
日刊スポーツが夏目の妊娠を伝える記事を掲載して間もないころのこと。新宿のスナックで酒を飲んでいるときに、店のマスターから「夏目と有吉の結婚騒動は本当ですか?」と聞かれた。筆者は、
「たぶん2人は交際中でしょう。仮に今は交際していなくても交際した事実はあるはずだし、妊娠も本当だと思いますよ」
と答えた。

筆者が着目したのは例の誤報記事が出る1カ月ほど前の情報・報道番組「あさちゃん!」(TBS)だった。その日、メイン司会の夏目は唐突にメガネをかけて画面に登場した。ツルが太い黒縁メガネで、なぜメガネをかけているかという詳しい説明もなかった。翌日以降はメガネなし。つまりメガネ着用は1日だけだった。

テレビに出る有名人が前触れもなく、また説明もなく、メガネをかける理由のひとつが顔の変化を隠すことだ。誰かに殴られて青あざができ、メークだけでは心細いときなどにメガネで隠すことがある。

有吉との交際を知った田邊社長は激怒したと報じられた。2人の間に穏やかならぬ事態が持ちあがったのではないかと思ったのだ。

かつて安室奈美恵が髪をショートにしたとき、女性誌の芸能デスクから「あれはSAMと結婚したいと言い張る安室に社長が私情で激怒して切らせたという話があるよ」と教えられた。同じことが夏目にも起きたような印象を抱いたわけだ。

それはともかく、21年4月に有吉と夏目は結婚して決着がついた。その時点での筆者の推理は大要以下のような内容だ。

夏目は田邊社長に内緒で有吉と交際し、そのことがバレた、あるいは田邊社長に「結婚したい」と申し出た。田邊社長は激怒。夏目は日テレを退社したあと面倒をみてくれた恩人の田邊社長に強く出られないので、結婚への気持ちが冷え込んだ。

そこで既成事実をつくるために有吉は日刊スポーツに妊娠・結婚を書かせた。ところが田邊社長の怒りに拍車がかかり、有吉サイドは困惑して委縮。しばらく冷却期間を設けることにした。日刊スポーツは田邊社長の意をくんで誤報謝罪記事を掲載した。妊娠が事実だったため田辺エージェンシーは日刊スポーツを訴えなかった。

以後、何らかの話し合い、あるいは様子見を経て、田邊社長は夏目を手放すことを決めた。妻・小林麻美の手前、そうせざるを得なかったのかもしれない。

5年後に2人はめでたく結婚。田邊社長は日刊スポーツに謝罪記事を書かせたため、借りを返す格好で「有吉結婚か」の記事を書くことを許した――。以上のように考えると物語の筋が通ると思うのだが。

深読みのしすぎと叱られそうだが、もし誰かが夏目と田邊社長の関係を白日にさらし、この2人が別れる方向に誘導して有吉の結婚を実現したとしたら、高等テクと言わざるを得ない。その可能性は……。どうだろうか?

嘘で固めた芸能界

では問題の妊娠はどうしたのか。これについては時期尚早ということで何らかの対処をしたのではないかと思う。

例の新宿の店でマスターに「妊娠は事実だと思いますよ」と繰り返したら、その場にいた芸能プロ役員でTBSと密接な関係にある人物が独り言のようにこう漏らした。
「そういえば先週TBSに行ったら、夏目三久が季節外れの夏休みを取ったと言ってましたよ」

「嘘で固めた芸能界」という言葉がある。そこではときにメディアと芸能者側が密かに手打ちや協力をし、真相を隠蔽することがある。だがパズルの断片をつなぎ合わせて考えると、すんなり腑に落ちることもある。

とはいえ、以上の話はあくまでも自分勝手な憶測に過ぎない。「いい加減なことを書くな」と不快に思う読者がいたら、お詫びしたい。「すんまへんでした」と先に誤っておこう。

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