明治天皇の曾孫を逮捕できるのか?
このところJOC元会長・竹田恒和の周辺が騒がしい。五輪汚職事件の一環で東京地検特捜部の任意聴取を受けたこともあり、自宅前に報道陣が陣取る一幕もあった。
10月7日配信の「デイリー新潮」によると、実は参考人聴取ではなく、
「黙秘権を告知された上での完全な取り調べである『被疑者聴取』だったことが判明した。このため、実際に竹田氏が立件されるかが注目されている」
との証言もあるという。
万一立件となると、ミライトワなどのぬいぐるみ絡みで高橋治之に渡った800万円の一部を竹田が受け取ったのではないかというのだ。高橋がAOKIやKADOKAWAから受けた金額に比べるといささかショボい印象だが、賄賂をもらったのだったら、罪は罪として取り調べを受けなければならない。
そんなことを考えていたら、ある高齢女性に、
「本当に竹田さんみたいな方が逮捕されることってあるんでしょうか?」
と聞かれた。彼女は竹田の血筋にこだわっているのだ。
竹田は旧皇族の一員だ。1947年に旧皇族・竹田宮恒徳王の三男として生まれた。明治天皇の曽孫(ひまご)である。竹田の息子の恒泰は日ごろから「明治天皇の玄孫(やしゃご)」を売りにして、テレビやネットの右派系メディアに出まくっている。
竹田は皇族でないとはいえ、天皇家につながる血筋だ。だからこそJOC会長という要職を任されたともいえる。
「そんな人物がもし逮捕されたら、一大事でしょう」
と女性は小首をかしげた。天皇家の権威の浮沈に関わるんじゃないかというわけだ。
「逮捕でもされた日には、手錠は免れても下半身の検査を受けるでしょ。旧皇族に対して畏れ多いことではないかしら?」
そう言われたら、特捜部に旧皇族をそこまで追い込む勇気があるのかなと少しだけ疑問がわいてきた。
ただ、旧皇族から逮捕者が出たことはある。2015年7月、竹田の甥で恒泰といとこ関係にあたる竹田恒昭(当時35歳)という人物が大麻取締法違反(所持)の罪で警視庁麻布署に現行犯逮捕され、翌月に起訴されている。判決は懲役6カ月、執行猶予3年だった。
とはいえ、昨今は天皇家の権威を守ろうとする右派勢力が男系維持のために、47年に皇籍を離れた11宮家の男系男子を復帰させようと目論んでいる。今は微妙な時期なのだ。そんな時期に竹田を逮捕するのは森喜朗を捕まえるよりも重大事だという気がしないでもない。
特捜部はどう動くのだろうか。忖度せず、職責を果たしてもらいたい。