積年の「不都合な真実」をちらつかせ、実力行使で自民党を恫喝
7月8日に安倍晋三が銃撃されてから3カ月あまり。統一教会は世間の批判を浴び続けているが、そうした中「実は教団は反撃に転じている」という見方もある。
今月7日、元2世信者の小川さゆりさん(仮名)が外国記者クラブで会見を開いた際、統一教会は「会見を即刻中止するように」とのファクスを送り付けて妨害をはかった。妻が1億円の献金をしたため長男が自殺に追い込まれた橋田達夫さんは16日、高知県の自宅で勅使河原秀行(教会改革推進本部長)のアポなし訪問を受けた。橋田さんはすぐに警察と地元マスコミに通報したそうで、「(勅使河原は)突然一人でマスクを外して来た。いやもう、ちょっと怖かったですね」と恐怖を語った。
統一教会は多額の献金や物品の購入を要求し、その反社会性に批判が集中している。そんな折、逆境を跳ね返すかのような動きである。何が起きているのか。
あるジャーナリストは「一連の動きを見ると、逆襲に転じたとしか思えない」とこう分析する。
「会見中止のファクスも橋田さんへの突然の訪問も、岸田政権と自民党に対する脅しでしょう。政権には山際大臣みたいな統一教会にベッタリの閣僚がいて、本人はまだボロが出るかもしれないと認めている。自民党政調会長の萩生田光一(写真)は落選中の09~12年に統一教会の施設で講演を繰り返していた。どちらもズブズブの関係だし、ほかにも致命的な爆弾を抱えた議員はたくさんいるはず。統一教会は現下の解散命令請求の動きなどを苦々しく思い、『俺たちを追い込んだら、政権が倒れるほどの不都合な真実をバラすぞ』というつもり。それこそ『死なばもろとも』の意気込みで暴露に突っ走る可能性がある」
要するに小川さんと橋田さんへの威圧行為は「俺たちは実力行使で反撃するぞ」という、岸田・自民党への脅迫なのだ。統一教会を取材しているジャーナリストの鈴木エイト氏も16日の「Mr.サンデーSP」で「今後解散命令にどんどん進む流れになると、関係のあった政治家に関する何かしらのリーク、情報を出してくる可能性もある」と指摘していた。
岸信介と安倍慎太郎、安倍晋三など安倍家とのベッタリな関係やこれまでの自民党への選挙協力、政治家の広告塔としての役割など、統一教会が数十年に渡って積みあがった自民党攻撃の隠し玉を持っていることは間違いない。自民党は自らを破壊する武器を持った敵と戦うという皮肉な現実に直面しているのだ。まるで寓話のような話である。
それらを一気に爆発させるのか、それとも真綿で首を絞めるようにジワジワと出して脅してくるのか。統一教会はいま、余裕綽綽で自民党の出方を注視しているはずだ。