わずか５分で暴行し、現場から連れ去るプロの手口
今年の４月、知人を介して「殺人現場を目撃した」という人の話を聞くことができた。Ⅹさんというその人は東京・荒川区の路上で事件を目撃。いずれテレビや新聞で報じられるだろうと思っていたが、いまだに報道の兆しもない。Ⅹさんが「半年が経過したので、ブログに書いてもいいでしょう」というので慎重に書いてみようと思う。
４月26日、Ⅹさんは荒川区荒川の路上を通行中、２人の若者が襲撃される場面に遭遇した。時刻は正午を少し回ったころ。細い道路に面した月極駐車場内に白いワンボックスカーが止まったところから事件は始まる。クルマの中から３人の男が出てその場に待機した。彼らの目の前の道路は一方通行で、その先は「止まれ」と書かれた十字路になっている（写真）。
３人のうちリーダーらしき長身の男は身長180くらいで、年齢は30歳前後。あとの２人は170㌢くらいで20歳前後に見えたという。Ⅹさんによれば、若い２人はリーダー格の男の手下だろうという。
駐車から５分ほどしたころ、手下の一人（手下Ａ）がこちらに走ってくる軽自動車を見て「来たっ！」と叫び、そのクルマに立ちふさがる恰好になった。軽自動車は手下Ａの横をすり抜けて十字路の「止まれ」の位置で一旦停止。すると手下Ａは手下Ｂともとに軽自動車に走り、運転席と助手席から２人の男性を引きずりだした。
もう一人の手下Ｂは運転手の男性の腹部を膝でキック。うずくまりそうになった相手の顎をさらに膝蹴りした。蹴られた男性はその場に倒れた。意識を失っているように見えたという。
一方、手下Ａは助手席の男性を引きずり出した。この男性が逃げて十字路を右に曲がって走ったため手下Ａは追いかけ、手にした鉄パイプで後頭部を一撃。男性はその場にうつ伏せに倒れた。この男性の背骨のあたりをリーダー格の男が手にしたバットで強打した。
「クルマ！」
リーダー格の男が叫ぶと、新たに１台のクルマが走ってきた。写真でいうと、左方向からだ。Ⅹさんは「このクルマもワンボックスカーだったが、色は覚えていない」という。リーダー格の男と手下Ａが、後頭部を殴られて倒れた男性をそのワンボックスカーに乗せた。手下Ｂは自分がノックアウトして路上に倒れた男性を引きずってやはりワンボックスカーに押し込んだ。ワンボックスカーは被害者２人を乗せてすぐに発車。被害者の軽自動車は手下Ｂが運転してその場を離れた。
リーダー格の男は最初にいた駐車場に戻り、自分たちが乗ってきた白いワンボックスカーの運転席に座って発車した。こうして加害者３人と被害者２人、それに３台のクルマはその場から姿を消した。被害者の男性２人はともに20代に見えたそうだ。
Ⅹさんが言う。
財布を拾って持ち去る余裕も
「被害者のクルマが通りかかって襲撃が始まり、全員が立ち去るまでわずか５分ほどだった。リーダー格の男は自分たちのワンボックスカーに戻る途中、路上に落ちていた財布らしき物を拾って持ち去る余裕があった。血生臭い行為にゾッとさせられるとともに、クルマ２台で待ち伏せしてあっという間に去って行った手際の良さに驚かされた」
筆者は冒頭で「殺人事件」と書いた。彼らが死亡したかどうかは分からない。というのも、前述したように今日に至るまで報道も警察の発表もないからだ。ただし、Ⅹさんがその場にいた目撃者に聞いたところでは、鉄パイプで殴られた男性は頭を割られ、内部が見えたという。
「その目撃者は出血のほかに『頭から脳みそがはみ出ているのが見えた。あれは助かりそうもない』と言っていた。またリーダー格の男がその被害者に放ったバットの一撃はものすごい力で、目撃者は『もし頭の傷で死ななかったとしても脊髄損傷で一生寝たきりではないか』と言っていた。それくらい激烈な打撃だったらしい」（Ⅹさん）
事件後10分ほどしてパトカーなどの警察車両が５、６台駆け付け、婦人警官を含む警察官がその場にいた人たち約10人に事情聴取を行った。
「誰が落としたかは不明だが、リーダー格の男が財布を拾って平然とクルマに乗り込んで走り去る姿を見て、『これはプロの仕業だな』と思った」（同前）
事情聴取は４時間近く続いた。Ⅹさんは、
「翌日、新聞などで報じられると思ったけど、いまだに報道はない。現場に遺留品がなく、被害者２人がどこにいるのかも分からないので、警察も事件化できないのではないか。犯行の５分間は呆気に取られて見ていたが、彼らが立ち去ったあと恐怖で鳥肌が立った。犯人グループのクルマが白いワンボックスカーだったことは覚えてるけど、残りの２台の色は分からない」
と顔を引きつらせる。
加害者も被害者も若いため、地元では「チャイニーズドラゴンの抗争じゃないか」という声も上がっている。
一体、何が起きているのか。警察はあえて事実を秘匿し隠密裏に捜査しているのか。被害者２人は今、どこにいるのか。生きているのかそれとも……。
