ヤクザ、ヒモ、ホスト…女性にカネを使わせて逃げられなくするダマしの実態

「ここまで貢いだのだから、離れたくない」という不思議な女ごころ

M君というライターの友人がいる。筆者に世の中の裏側をいろいろと教えてくれる貴重な情報源だ。数年前、彼にこう言われた。
「ヤクザやヒモは知り合った女性と食事するとき最初はご馳走するけど、しばらくするとたまに女性に払わせるようにします。それが女性の気持ちを離さない秘訣なんです」

そのときは「ふ~ん」と軽く聞いていた。というか「ホンマかいな?」と疑っていたのだ。

理由がある。女性は総じてしまり屋だ。極端に言うと、ケチである。ケチだからこそ、結婚して家計をしっかり管理できる。神様の配剤なのだろう。だからカネを払わせたら、逃げてしまうはずだ。

「ウソじゃありませんよ。ヤクザは女性と3回食事した場合、1回は相手に払わせるようにする。それは兄貴分から弟分に受け継がれるヤクザ業界の伝統のワザなんです」
M君はこう力説するが、筆者は話半分で聞いていた。

ところが昨年春のことだ。あるセクシー女優を取材した際に、彼女からこう言われた。
「ホストにお金を使えば使うほど、別れたくなくなる。それが女心なんですよ」

彼女は20代半ばだが、100万円単位の借金がある。OLからセクシー女優に転身したのはホスト遊びが楽しいから。その資金稼ぎと借金返済のためにデビューしたという。他の女優陣と同様で悲壮感はなく、実にあっけらかんとしたものだ。

彼女の話を聞いて、筆者はM君の話を思い出した。同じことを言っている人がいる。それもホストに貢いでいる女性。つまり当人の証言なのだ。やはりM君の説は正しかった。

それにしてもだ。ホスト遊びは身を滅ぼすものと相場は決まっている。普通なら給料をつぎ込み、貯金を使い果たしていくうちに「これはまずい」と目が覚めてもよさそうなものだが、カネを使うほどのめり込むとは不思議な心理ではないか。

筆者が首をひねっていると、隣りにいたマネージャーが、
「その気持ち、よく分かるよ」
と女優の顔を見て頷いた。
「実は僕は大学時代、バイトでホストをやっていた。ホストクラブの女性客はお気に入りのホストのために大金を使う。それは自分が気に入った男を育て上げたいという気持ちに誘導されるからだ」

マネージャーの言葉に女優は、
「そうそう」
と大きく頷いている。私も同じよと賛同しているのだ。

さらにマネージャーが言う。
「ある程度カネを使うと、女性は『ここまで貢いだんだから、中途半端に撤退できない。いや、離れたくない』と考える。だから借金をしてでもホストにつぎ込む。すると意識がさらにエスカレート。『彼のことを理解しているのは私だけよ』と自信過剰になり、そこから『彼を独占したい』という気持ちが強まる。いうなれば、ホストに惚れ込むというより、自分に酔ってしまったことになる。このマインドコントロールからはなかなか抜け出せない」

ヤクザやチンピラ、ヒモが食事のときに女性にカネを払わせたり、自分へのプレゼントを買わせたりするのも同じ。自分に投資させることで途中で逃げられなくするのだ。

「彼らはメスを支配する雄ライオンなんです」

株式投資のことはよく知らないが、投資家の心理も同じようなものだろうか。自分の持ち株が値崩れしたら、さっさと売って損切りすればいいのに、いつまでも持ち続けてしまう。さらに「いずれ高騰するだろう」と希望的観測を抱き、いつしか値崩れ株に愛着を抱いて手放せず、塩漬けに……。

この日の会話をM君に話したら、こう解説してくれた。
「ヤクザやホストはライオンの集団の雄ライオンなんです。雄ライオンはメスに狩りをさせてのんびりとシマウマを食べる。同じようにヤクザらは女性に働かせて、実入りを吸い上げる。『俺がお前のボスだ』とアピールすることで、女性を心理的に支配するわけです。上下関係をより強固にするために女性にお金を払わせるのは重要なのです」

何度も言うが、これはヤクザやヒモなどが営々と培ってきた生き残るための伝統の“ダマしテク”。それも基本のキにすぎず、彼らはもっとあざといワザをいくつも持っているそうだ。

M君の話を聞いて筆者は「オラはヤクザにもホストにもなれないなぁ」と思った。女性と食事したら、質屋に通ってでも全額払いたいもんね。おかげで洋服は年中、着たきりすずめなのよ。悪い?

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