ヤクザは海水浴場で花火をやりながら実弾をぶっ放す
餃子の王将の社長を殺害した犯人が逮捕され、いまだに話題をさらっている。捕まった田中幸雄容疑者(56)はきわめて凶暴な暴力団「工藤会」系組織の一員。誰の指示を受けて犯行に及んだのか、実際に銃弾を放ったのは誰なのか。全容解明に注目だ。
いま、世間ではヒットマンにスポットが当たっている。ヒットマンとヤクザは切っても切れない関係だ。昔からヤクザが敵勢力の幹部を殺害するために暗躍してきた。
そのヒットマンについて、暴力団事情に詳しいジャーナリストのA氏からこんな話を聞いたことがある。
「山口組の事務所にはヒットマンの待機室があるらしい」
兵庫県警が山口組総本部をガサ入れするとき、豪邸風の建物に入っていく光景をテレビで目にする。大きな建物で、内部にはいくもの部屋があるらしい。
A氏によると、山口組VS一和会抗争(1984~89年)のあたりから、山口組にはいざというときに命がけで相手のタマを取るヒットマンが数人所属しているという。彼らはもともと傘下団体などの組員、または外部から雇った銃器の精通者だ。
K氏はこう話してくれた。
「関係者にそれとなく聞いてみると、建物の一角に数人がくつろいでいる部屋があり、あまり人が近づかないようにしているそうです。そこにいるのは度胸の座った組員らで、ヒットつまり暗殺の指令を待っている。普段は働かず、昼間から酒を飲んだりテレビを見たりしてのんびりできるけど、いざ命令を受けると死刑を覚悟で任務を遂行するそうです」
まるで人間魚雷回天の隊員のようだ。上官に「行かせてください」と言って鉢巻きを巻く姿を思い浮かべてしまう。
ヤクザはどこで射撃の練習をするのか。A氏によると、グアム島などに観光に行った際に民間の射撃場で実弾を撃って射撃に慣れるようにするのだそうだ。
そういえば筆者は数か月前にネットで、1970年代にヤクザ組織にいた人に銃について聞いたことがある。彼はヤクザは拳銃が好きで、誰かが入手すると数人で銃弾を発射してその感触を楽しむのだとこう話してくれた。
「実弾を撃つというと、山奥に行って試射すると思うだろうけど、実は違う。夏場は昼間の海岸、つまり海水浴場でやるんだよ。その際、1人が銃と弾丸を持ち、残りの2、3人が打ち上げ花火を上げる。空中でパーンと爆発するあれ。あの爆発音に紛れて拳銃を撃つわけだ。海水浴客のいる海岸の隅っこで海パンをはいてやれば、誰もが花火で遊んでると考える。見回りをしている警察官だってそう思うだろ。絶対にバレないね」
なるほど。花火の音に紛れるわけだ。
筆者はその話を聞いて映画「スターリングラード」(2001年)で、射撃の名手のヴァシリ(ジュード・ロウ)が戦場でドイツ軍の将校を狙撃する場面を思い出した。響き渡る大砲の爆発音に紛れて銃弾を発射させることで、敵に将校が撃たれたことに気づかせず、次々と標的に銃口を向けていた。
狙撃兵もヤクザも、人の盲点をつくわけだ。