美人は絶対にホメるな! 無感動男がキャバクラでモテる悲劇の舞台裏

テレビで「美人」が使えなくなる?

先週、テレビで番組を持っている友人と会ったら、
「とうとう『美人』も使えなくなった。テレビ局もここまできたかという感じだね」
と言われた。

我々は美しい女性を表すとき「美人」という言葉を使う。「美人OL」とか「美人女子大生」という変化形もある。ところが今、テレビはこうした表現を排除する方向に向かっているそうだ。
「美人の対極にはブスが存在する。美人という言葉はブスを相対的に見下すことになるので使わないようにしたいとの説明を受けた」
なんだか"言葉狩り"だなぁという印象だ。

ところで、世の中には美人を見てもそれほど感動しない男がいる。筆者の感覚では、不思議な存在だ。
筆者は若いころキャバクラに行き、目が覚めるような美女が席につくと、
「きれいですねぇ~」
とひたすらホメた。ほめたというより、心の中の感動を素直に表現した。紺碧の海を見て「美しい」と呟くように、美女を称賛せずいられない。ホメないのは神への冒涜なのだ。

ただし、それは美女との距離がますます遠ざかる行為だった。美女はホメてはいけないのだ。

なぜなら美女はこの濁世に降臨したときから「美しい」「かわいい」と言われまくって育ってきた。彼女にとって、そうしたホメ言葉は当たり前の形容詞なのだ。正直、ホメ言葉に辟易している。だから筆者みたいなそのまま感動を口にするやからを目にすると、
「また同じようなやつがきたよ」
と心の中で舌打ちするわけだ。

こうした事情で、ホメ言葉を口にする筆者は美女にモテたことがない。十人並みの女性に冗談半分に「かわいい」と言って好かれるくらいだ。気に入った女性をホメて逃げられ、興味のない女性をホメて好意を持たれるとは、まさに努力逆転現象である。

「この男を振り向かせてみせるぅ~」と前のめりに

ところが世の中には何の努力もせず美女の心をつかむ男がいる。美しさに感動しないタイプである。目の前にうっとりするほどの美人がいても感激しない。だから称賛もしない。よくいる十人並みの女性と同じように世間話をする。

美女は混乱する。
「私は子供のころから美しさを称揚されて育った。チヤホヤされてきたのだ。なのにこの男は私をホメない。まるで田んぼの案山子(かかし)を見るような目つきだわ。何なのよ、この人は? 誰か説明してけれろ~!」

混乱の果てにその感動できない無感覚男に惹かれてしまう。
「この人は普通の男とは違う。どこかオーラがある。よーし、この人を振り向かせて見せるぅ~」
と前のめりに突き進んでいく。要するにクールな雰囲気に引き寄せられてしまうのだ。先述した「美女はホメてはいけない」の理由はここにある。

そのあげく結婚することもある。そこに落とし穴が待っている。
「この人はほかの男たちと違う」という一点で好きになったはいいが、相手は無感覚男だ。話をしても楽しくない。感動を分かち合うこともない。美人妻はこうした人間関係に次第にうんざりしてくる。そのあげく、
「クールなところが魅力だったけど、彼こそが本物の案山子だった。私の結婚は失敗した」
と悔やむ。

夫は生来の無感覚男だから、勤務先でもコミュニケーション能力がなく、人望もない。上司や取引先の担当者にお世辞を言うこともできない。つまり、よほどの能力がないかぎり出世できないタイプだ。
「こんなにつまらない男は見たことがない」
女性はますます後悔する。

そんなときに饒舌で自分をホメてくれてユーモアのセンスのある男と出会うと、やたらと輝いて見える。
「私にはこういうタイプの男性がふさわしいのよ~」
と飛びつき、深い関係に。その先には離婚が待っていたりする。

彼女の人生をよく見て欲しい。最後の最後に、自分が見下していた三枚目の男に魅了されるという皮肉な結末に至るのである。美女は自分で肥溜めに転落したのである。

ホストもこの手で女性を騙し、風俗界食物連鎖の頂点に君臨する

こうした女性心理を巧みに利用するのがホストだ。彼らも美女をホメない。ホメないことで女性の心の中に飢餓状態を発生させる。女性は飢餓の抑圧から脱するための発露を求めてホストに入れ込む。こうして身も心も惚れ込む。

ホストは親に叱られたことのないようなお嬢さまに、
「長らく店に来なかったな。そんな女は相手にしないんだよ、俺は。帰れ」
と冷たい言葉を吐く。お嬢さまは、
「素敵ぃ」
と痺れる。ついでに金銭感覚も痺れてくる。かくしてホストは風俗界食物連鎖の頂点に君臨することになるのだ。

以上のことはべつに特別な論文があるわけではない。長年に渡り夜のクラブ活動をする中で、筆者が見聞きしたことを総合したまでだ。ゆめ、お信じくださるな。

ただ、筆者は若い独身者に、
「美女と結婚したかったら、美しさをホメるな」
と助言したい。というか実際に助言している。

それはキャバクラだけでなく、社内でも同じ。女心を操る"求愛のセオリー"なのよ。

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