静かな死と派手な死 自殺の方法が悩みの内容によって違うという驚きの分析

樹海でひっそりとビルから飛び降りるパターンに大別

人がみずから命を絶つ「自殺」。その方法は大きく2種類に分類されるという。

ひとつは富士山のふもとに広がる青木ヶ原樹海などでひっそり首を吊る方法。穏やかな死と言えようか。

もうひとつはビルの屋上から飛び降りたり、鉄道に飛び込む方法。言い方は不謹慎だが、派手な死に方だ。

この違いを分かりやすく言うと「静と動」となるだろうか。

前者の静かな方法はギャンブルや異性にお金をつぎこんで借金をつくり、闇金などに追いまれてにっちもさっちもいかなくなった人が選ぶことが多いとされる。

一方、後者は誰かに裏切られた人に多く見られる。恋人に捨てられた男女や会社のお金を持ち逃げされた実業家などだ。

なぜ動機によって手段が違うのか。

以前、大学で心理学を教えているS先生に聞いたら、こんな風に解説してくれた。

まずは静かな死に方。
「穏やかな死を選ぶ人はギャンブルやお酒で借金を重ねたケースが多い。彼らは『自分が悪い』『自分に落ち度がある』と認識している。だから自分のことを知っている人たちの集団からひっそりと姿を消したいと思う。人々の記憶から消えてしまいたいのです」

以前、何かで読んだが、青木ヶ原で首を吊った人の上着には借用書が入っていることがあるという。

では、派手なほうはどうか。
「ビルから身を投げたり、電車に飛び込む人は衝撃的な死に方をすることによって、自分を裏切った人が一生自分を忘れないようにしようという心理。相手の記憶に壮絶な最期のありさまと恨みを刻んで、死ぬまで苦しませたいと考えるのです」

新宿・歌舞伎町で水商売の女性がビルから飛び降りたというニュースを聞く。ホストなどにひどい目にあったのかもしれない。

1990年に女優・荻野目慶子の自宅マンションで映画監督の河合義隆が首を吊って死亡。大きなニュースになった。当時、荻野目と河合は世田谷・芦花公園のマンションで同棲中。荻野目が別の男性に乗り換えようとしたため、絶望した河合が屋内のドアノブにかけたタオルで首を吊った。

荻野目は帰宅して遺体を発見。河合は荻野目が第一発見者になることを見越して屋内で死んだと考えていいだろう。自分の死を見せつけたいという心理が働いたことになる。

動機によって死の方法が違うとは人間を知る上で興味深い話だが、いずれにしても早まってはいけない。悩んだら、まずは誰かに相談すること。どんな状況でも解決策はあるのだから。

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